3級の勘定科目をメモ書きで使用するときに、略した方が時間が短縮できますので、このページを参考にしてみてください。このページは3級の勘定科目名について書いています。2級はまた別のページに書きますので、そちらも合わせてお読みください。
ここでは3級の「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」に分けて書いています。
勘定科目の省略した書き方を覚える前に注意したいこと
省略した勘定科目などは、メモ書きには使えますが、解答用紙に書くときには使えません。メモ書きは自分だけが分かっていればよいので、参考にしていただければと思います。
第158回以降は試験の形式がかわったため、勘定科目を書き込む必要がなくなり、選択肢(ア、イ、ウ…)を選ぶようになりました。漢字の間違えなどはなくなったに等しいと思いますし、表をみていただくとお分かりになると思いますが、似たような勘定科目名が非常に多く、間違えないようにする必要があります。
また、試験だけではなく実務のことを考えると、勘定科目名を覚えていないと業務になりません。勘定科目の省略だけを覚えて完璧とするのではなく、きちんと勘定科目の意味も理解して使うようにしましょう。
参考書を含めて「省略した書き方」が出題文に出ることはないです。省略を先に覚えるよりも参考書など勉強を通じて正しい勘定科目をまず覚えた方が良いかと思います。その上で、メモ書きなどで時間短縮を目的に覚えて使う方が、誤った覚え方を避けやすいと思います。
省略した書き方と許容範囲の違い
日商簿記では、勘定科目の許容範囲があります。この許容範囲で解答しても正答になります。
例えば、勘定科目「普通預金」の許容勘定科目は「銀行預金」で「未収入金」の許容勘定科目は「未収金」です。
普通預金の省略では私の場合「普ヨ」とメモ書きとして使いますが、正しい勘定科目、許容範囲、省略をごちゃ混ぜで記憶してしまい、これらを見境なく覚えてしまうと、試験中は緊張して無意識に解答へ書き込んでしまう可能性も発生します。
日商簿記3級の勘定科目と略称と解説 一覧
それぞれをグループ分けしました。
資産が一番覚えるのが多いため、勘定科目が少ない「純資産」から入るのも良いかと思います。順番に決まりはありませんので、どのグループから覚えても良いと思います。私の場合は最初から順に覚えたいタイプですが、これをグループ単位で覚えるのをすると嫌になってしまうかなと思います。ただ、私の場合は3級を学習したとき、現金はCといったように一気に覚えずに参考書を読みながら自然と覚えました。
パターンの一覧のあと、日商簿記の勘定科目一覧という順でまとめています。
資産
勘定科目が、一番多いグループです。まとめて覚えたい人にとってこれをざっと見て多いなと感じた場合は、このあとにある純資産は3つしかないので、こちらから覚えると楽です。
勘定科目 | 省略した書き方 | 解説 |
---|---|---|
現金 | C | 現金は英語でCashなので頭文字をとってCです。 |
小口現金 | 小C | 小口現金の「小」と「C(現金)」の組み合わせで省略します。 |
当座預金 | 当ヨ | 当座預金の「当」と預金の「ヨ」を組み合わせて省略します。 |
当座預金〇〇銀行 | 当ヨ○○ | 当座の「当」と預金の「ヨ」に銀行(支店)名を組み合わせて省略します。 |
普通預金 | 普ヨ | 普通預金の「普」と預金の「ヨ」を組み合わせて省略します。 |
普通預金〇〇銀行 | 普ヨ○○ | 普通の「普」と預金の「ヨ」に銀行名を組み合わせて省略します。 |
定期預金 | 定ヨ | 定期預金の「定」と預金の「ヨ」を組み合わせて省略します。 |
定期預金〇〇銀行 | 定ヨ○○ | 定期の「定」と預金の「ヨ」に銀行名を組み合わせて省略します。 |
受取手形 | う手 | 受取の頭文字の「う」と手形の「手」の組み合わせで省略します。 |
売掛金 | う×金 | 売の頭文字の「う」と掛けを「×」と「金」の組み合わせで省略します。 |
クレジット売掛金 | ク売 | クレジットの頭文字の「ク」と売掛金の「売」の組み合わせで省略します。 |
電子記録債権 | 電 | 電子の頭文字の「電」。 |
貸倒引当金 | 貸引 | 貸倒の「貸」と引当金の「引」の組み合わせで省略します。 |
商品 | 商 | 商品の「商」をそのまま省略します。 |
繰越商品 | 繰商 | 繰越の「繰」と商品の「商」を組み合わせて省略します。 |
貸付金 | 貸 | 貸付の「貸」をそのまま省略します。 |
手形貸付金 | 手貸 | 手形の「手」と貸付の「貸」を組み合わせて省略します。 |
従業員貸付金 | 従貸 | 従業員の「従」と貸付の「貸」を組み合わせて省略します。 |
役員貸付金 | 役貸 | 役員の「役」と貸付の「貸」を組み合わせて省略します。 |
立替金 | 立替 | 立替金の「立替」をそのまま省略します。 |
従業員立替金 | 従立 | 従業員の「従」と立替金の「立」を組み合わせて省略します。 |
前払金 | 前払 | 前払金の「前払」をそのまま省略します。 |
未収入金 | 未収 | 未収入金の「未収」をそのまま省略します。 |
仮払金 | 仮払 | 仮払金の「仮払」をそのまま省略します。 |
受取商品券 | う商券 | 受取の「受」と商品券の「商券」を組み合わせて省略します。 |
差入保証金 | 差保 | 差入の「差」と保証金の「保」を組み合わせて省略します。 |
貯蔵品 | 貯 | 貯蔵品の「貯」をそのまま省略します。 |
仮払消費税 | 仮払税 | 仮払の「仮」と消費税の「税」を組み合わせて省略します。 |
仮払法人税等 | 仮払法税 | 仮払の「仮」と法人税等の「法税」を組み合わせて省略します。 |
前払保険料など前払費用 | 前払費 | 前払の「前払」と保険料などの「費」を組み合わせて省略します。 |
未収家賃など未収収益の各勘定 | 未収収益 | 未収家賃などの「未収」と収益の「収益」を組み合わせて省略します。 |
建物 | 建 | 建物の「建」をそのまま省略します。 |
建物減価償却累計額 | 建る | 建物の「建」と減価償却累計額の「る」を組み合わせて省略します。 |
備品 | 備 | 備品の「備」をそのまま省略します。 |
備品減価償却累計額 | 備る | 備品の「備」と減価償却累計額の「る」を組み合わせて省略します。 |
車両運搬具 | 車 | 車両運搬具の「車」をそのまま省略します。 |
車両運搬具減価償却累計額 | 車る | 車両運搬具の「車」と減価償却累計額の「る」を組み合わせて省略します。 |
土地 | 土 | 土地の「土」をそのまま省略します。 |
- 略
負債
負債は費用と同じくらいの項目数ですが、覚えるパターンは負債の方が多く複雑です。
費用の方が項目は多いですが、覚えるパターンが少ないです。
なぜなら費用は「〇〇費」となるものが多いので、それらをまとめると「〇〇ヒ」と統一出来るため、覚えるパターンが少ないのです。効率的に部単位で覚えたい場合は、これを飛ばして「費用」の部からが良いかもしれません。
勘定科目 | 省略した書き方 | 解説 |
---|---|---|
支払手形 | し手 | 支払の「し」と手形の「手」の組み合わせ |
買掛金 | か×金 | 買の「か」と掛を「×」と組み合わせる |
電子記録債務 | 電債 | 電子の「電」と記録債務の「債」を組み合わせる |
前受金 | 前受 | 前受金の「前受」をそのまま使用する。収益の部でも受取、資産の部でも受取手形などがあるため、そのまま漢字を使った方が混乱しないと思います。 |
借入金 | 借 | 借入金の「借」をそのまま使用する |
役員借入金 | 役借 | 役員の「役」と借入金の「借」を組み合わせる |
手形借入金 | 手借 | 手形の「手」と借入金の「借」を組み合わせる |
当座借越 | 当借 | 当座の「当」と借越の「借」を組み合わせる |
未払金 | 未払 | 未払金の「未払」をそのまま使用する |
仮受金 | 仮受 | 仮受金の「仮受」をそのまま使用する |
未払利息 | 未払利 | 未払利息の「未払利」を省略する |
前受地代 | 前受地 | 前受地代の「前受地」を省略する |
預り金 | 預り | 預り金の「預り」をそのまま使用する |
従業員預り金 | 従預り | 従業員の「従」と預り金の「預り」を組み合わせる |
所得税預り金 | 所得預り | 所得税の「所得」と預り金の「預り」を組み合わせる |
社会保険料預り金 | 社保預り | 社会保険料の「社保」と預り金の「預り」を組み合わせる |
仮受消費税 | 仮受消 | 仮受消費税の「仮受」と消費税の「消」を組み合わせる。 仮消税と略して書くと、同じ消費税で仮払消費税とというのがあり、混乱します。 |
未払消費税 | 未払消 | 未払消費税の「未払」と消費税の「消」を組み合わせる |
未払法人税等 | 未払法 | 未払の「未払」と法人税等の「法」を組み合わせる |
未払配当金 | 未払配 | 未払の「未払」と配当金の「配」を組み合わせる |
純資産
純資産は資本、利剰、繰利の三つなので勘定科目の中では一番少ないです。それと、頭文字だけで意味が通じる略称を使っているので覚えやすいと思います。最初にある資産の部から覚えるのが大変だと感じた場合は、こちらの純資産から覚えるのが得策と思います。ちなみに、この次に覚えやすいのは「収益」の部となります。
勘定科目 | 省略した書き方 | 解説 |
---|---|---|
資本金 | 資本 | 資本金の「資本」をそのまま使用する。 |
資 | 資本金の「資」を単独で使用する。 | |
利益剰余金 | 利剰 | 利益の「利」と剰余金の「剰」を組み合わせた。 |
利益剰 | 利益剰余金を「利益剰」と省略する。 | |
繰越利益剰余金 | 繰利 | 繰越の「繰」と利益剰余金の「利」を組み合わせた。 |
繰越利 | 繰越利益剰余金を「繰越利」と省略する。 |
収益
収益の「益」を「エキ」と書いたり、受取を「う」と書くのが多いです。
純資産の次に少ないのと上記のパターン化することで覚えやすいのが特徴です。
勘定科目 | 省略された書き方 | 解説 |
---|---|---|
商品売買益 | 商売エキ | 商品売買益の「商売」を組み合わせる |
売上 | 売上 | そのまま略さずに使った方が良い。例えば、売買目的有価証券などがあるので略さない。略すと売有として使う。 |
受取家賃 | う家 | 受取の「受」と家賃の「家」を組み合わせる |
受取地代 | う地 | 受取の「受」と地代の「地」を組み合わせる |
受取手数料 | う手数 | 受取の「受」と手数料の「手数」を組み合わせる |
受取利息 | う利 | 受取の「受」と利息の「利」を組み合わせる |
雑益 | 雑エキ | 雑益の「雑益」をそのまま使用する |
貸倒引当金戻入 | 貸倒戻 | 貸倒引当金の「貸倒」と戻入の「戻」を組み合わせる |
償却債権取立益 | 償取エキ | 償却債権取立益の「償取」と益の「益」を組み合わせる |
固定資産売却益 | 固売エキ | 固定資産売却益の「固売」と益の「益」を組み合わせる |
費用
費用は「〇〇費」とつくのが多いので、まとめて「〇〇ヒ」と覚えると覚えやすいです。前項で述べましたが、負債と同じくらいの覚える数がありますがこちらの方が省略時のパターンが少なく覚えやすいと思います。
勘定科目名 | 省略された書き方 | 解説 |
---|---|---|
仕入 | 仕 | 仕入の「仕」 |
売上原価 | 売原 | 売上原価の「売原」 |
発送費 | 発送 | 発送費の「発送」 |
給料 | 給 | 給料の「給料」をそのまま使用する |
法定福利費 | 法福 | 法定福利費の「法福」 |
広告宣伝費 | 広ヒ | 広告宣伝費の「広告」 |
支払手数料 | 支手 | 支払の「支」と手数料の「手」を組み合わせる |
支払利息 | 支利 | 支払の「支」と利息の「利」を組み合わせる |
旅費交通費 | 旅費 | 旅費交通費の「旅費」 |
貸倒引当金繰入 | 貸倒繰入 | 貸倒引当金繰入の「貸倒繰入」 |
貸倒損失 | 貸倒損 | 貸倒損失の「貸倒損」 |
減価償却費 | 減ヒ | 減価償却費の「減償」 |
通信費 | 通ヒ | 通信費の「通信」 |
消耗品費 | 消ヒ | 消耗品費の「消費」 |
水道光熱費 | 水ヒ | 水道光熱費の「水光」 |
支払家賃 | 支家 | 支払の「支」と家賃の「家賃」を組み合わせる |
支払地代 | 支地代 | 支払の「支」と地代の「地代」を組み合わせる |
保険料 | 保険 | 保険料の「保険」 |
租税公課 | 租税 | 租税公課の「租税」 |
修繕費 | 修ヒ | 修繕費の「修繕」 |
雑費 | 雑ヒ | 雑費の「雑費」をそのまま使用する |
雑損 | 雑ソン | 雑損の「雑損」をそのまま使用する |
固定資産売却損 | 固売ソン | 固定資産売却損の「固売損」 |
保管費 | 保ヒ | 保管費の「保管」をそのまま使用する |
諸会費 | 諸ヒ | 諸会費の「諸会」をそのまま使用する |
法人税、住民税及び事業税 | 法住事税 | 法人税、住民税及び事業税の「法住事税」 |